2007年2月
パラオでも雪景色
観測データによると、パラオの年間平均気温は27.6度、月毎の気温では一番低いのが2月、高いのが5月。
しかし、その差は0.7度しかなく、常夏の典型的な海洋性熱帯気候で、もちろん雪など降ることはありません。
写真はPPRの社員用駐車場で、2月になるとまるで雪が積もったような景色になることがあります。
少し前、深夜に車を出しに行った時には、暗く風も無くて静まりかえっていて、車のライトで見える上空からハラハラと降ってくる白い物体は雪のようで、日本の北国の風景を思い出してしまいました。

その正体は1本の、高さが20m位ある大きなカポックの木で、12月頃20cmくらいの細長い楕円の緑色の実をつけ、1月には茶色になって、2月に外殻が割れて中から真っ白い綿が舞い落ちるようになります。
パラオの人もワタと言って、クッションや枕を作っていたようです。

2年前から集めていて、かなりの量になっているので、この綿を使って、何かを作ってみようかなと考えています。
普通の綿だと水を吸ってしまうのだけど、カポックの綿は水をはじいてしまう特性があります。
今のライフジャケットの中身は発泡プラスティックだけど、昔はこのカポックの綿が使われていて、映画「タイタニック」でも白い(外側は木綿で袋状になっていて中に浮力体の綿を詰め込む)胴衣を着けていたような記憶があります。
約百年前の「タイタニック号」や当時の救命胴衣のデザインがどのような物だったのは分からないのだけど、映画の1場面からコピーして作り、どれくらい浮力があるのか試してみたいと思ってます。

1年中ほとんど変わらない気温なのに、どうして1年に一度この時期だけなのかはちょっと不思議です。
私の仮説では、12月になって東からの陸地から海に向かって風が吹く頃になると、真っ白い花が受粉して実になり、風が最も強くなる頃高い樹の上で実の殻がはじけて、綿に包まれた種が風で飛んで海の上に浮かび、そのまま遠いところまで運ばれて、たどり着いた所で根付くというものです。
実際には海から遠くはなれた所にも木があるのでその説は怪しいのだけど、駐車場のカポックの木は風下の海まで100m位で比較的近く、ホビーキャットで走っていると海面を綿と一緒に種子が漂流しているのをよく見かけます。

気温、水温の変化がない所で生活をしているとサイクルのメリハリがなくなってしまうのだけど、ちょっと観察を続けていると星や月の位置や潮汐など、自然は意外と変化があるのに気が付きます。