2008年6月
ローレライ
ドイツ、ライン川中流の岸辺にローレライと呼ばれている大きな岩があり、その近くで昔から往来する船がよく事故を起こすことで知られています。
言い伝えでここに妖精が住んでいて、魅惑的な歌声に惑わされて、浅瀬に座礁してしまう伝説も有名です。

サンゴ礁に囲まれているパラオには、外海から進入するための自然の水路が幾つかあり、日本など北の方面からコロールに向かうには必ずウエストパスを通過します。
幅も十分広く、入り口を過ぎれば海は穏やかで、昼間であれば淡いブルーの色は水面の下のサンゴ礁もはっきりと確認できるのでボートの航行に危険は少ないはずです。
ところが、ここの所続けて同じ場所で引き寄せられるように座礁するヨットがあり、魅惑的な場所でもあり、パラオのローレライとでも呼びたくなってしまいます。

今年5月に、日本を出航してオーストラリアやモルディブを巡る航海計画の北海道の男性一人乗組みのヨットが、最初の寄港地になるパラオの、入港直前の深夜にサンゴ礁に乗り上げてしまい、救助要請をして助けられました。
船体には重大なダメージがなかったので、上架しての修理で航海を続けられそうです。
なぜだか眠り込んでしまったそうです。(本人談)

1年前の5月にも、千葉を出港したやはり男性一人乗込みのヨットが同じ場所で座礁して、かなりの浸水はしたけど沈没は免れて、大修理だけで事なきを得ました。やはりなぜだか眠ってしまったそうです。(本人談)

4年前の5月には、やはり同じ場所で、長崎から来た男性2人乗組みのヨットが、昼間で天候も視界も良い時に、真っ直ぐ進むかどうかで2人の意見が合わなくて言い争っているうちに座礁した(本人談)こともありました。

長い間航海を続けてきて、ローレライのような幻惑もあったかもしれないけど、2週間近くかけて慎重にここまできて、最後にパラオの明かりや陸地を見て、気が緩んでしまったのかもしれませんね。
お酒の好きな北海道の彼も、出航準備で食料の買い物にはビールは買わないで、航海中は飲まないと誓って、オーストラリアのダーウィンに向けて旅立って行きました。